エジソンが白熱電球を実用化させたのは、1879年のこと。それ以来使われ続けてきた白熱電球の歴史に比べれば、LED照明の歴史はごく浅いものです。そのため、LED照明を選ぶ際の「基準」は、消費者に十分浸透しているとはいえない部分があります。
この記事では、そんなLED照明選びの基準の一つとなる「発光効率」について解説していきます。
発光効率とは何か?
まずは一番の違いとして、どのような目的で光を演出するかという点です。
従来、白熱電球の明るさを示す基準としては「ワット(W)数」が使われてきました。これは「消費電力量」を表すもので、ワット数が大きいほど、その電球が明るいとされてきました。
ところが、LED照明の場合、白熱電球よりも圧倒的に少ない電力量で明るさを出すことができるため、ワット数を明るさの基準とすることができなくなってしまいました。そこで出てきたのが全光束「ルーメン(lm)」という基準です。ルーメンは電力量とは関係なく、照明器具が発する光の量を示すものです。そのため単純に、光の量が多い=ルーメンが高い=明るい照明器具ということになります。
そしてもう一つ、LED照明選びのポイントとなる基準が「発光効率」です。これは1Wの電力でどれだけの光量を発生させられるかを表す値で、電球のルーメンを消費電力(ワット)で割ることで計算でき、「lm/W」という単位で表されます。
発光効率と消費電力の関係性
なぜLED照明を選ぶ際に、発光効率が重要となるのでしょうか。たとえば、同じ600ルーメン(lm)のLED電球で、発光効率が80lm/Wの電球と100lm/Wの電球があったとします。80lm/Wの電球は、80ルーメンの明るさを出すのに、1ワットの電力を必要とします。一方、100lm/Wの電球は、1ワットの電力で100ルーメンの明るさを出すことができます。同じ電力量でも、より明るくできるということから、発光効率(lm/W)は数字が高いほど効率が良くなります。つまり、数字が高いほど、その電球の省エネ性が高いということです。
LED電球が白熱電球に比べて有利な点のひとつに、この省エネ性がありますので、発光効率はLED選びの際に重要な指標となっているのです。ただし、高効率だから良い、と一概にはいえないのがLEDの難しいところです。たとえば、発光効率が高くない製品の中にも、照らされるものがきれいに見える効果のあるものなど、プラスαの機能を付加した製品もあります。
発光効率と演色性の関係
もう一つ、発光効率が照明に与える影響があります。それは「演色性」です。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、これは物体が光に照らされたときに、どれくらい自然光に近い色味になっているかを示す指標です。この演色性が高いほど自然光に近く、人間の目にも違和感のない照明であるということになります。演色評価数Raという数値で表され、最高でRa=100となります。
実は、前述した発光効率は演色性と反比例する関係にあります。つまり、省エネ性を求めて発光効率を上げるほど、それに照らされた物体は自然光に照らされた状態からは離れてしまい、人間の目に違和感を与えやすいものになるということです。そのため、LED商品は一般的に「発光効率を重視した省エネ製品」と、「自然光に近い光を発する製品」という2つのタイプに分かれています。これも「どちらかが良い」ということではなく、使う場所に合わせて適したものを選ぶことが重要です。
弊社の製品は、例えばプロテープライトであればLEDはRa80以上のものを採用しています。これは間接照明用途として必要十分な演色性を兼ね備えたタイプです。Ra80もあれば、十分に棚下照明としても利用できますが、照らす対象物(例えば赤味のあるものなど、LEDが不得意とする色のもの)によってはより高演色のものを使用されるほうが良いこともあります。
LED電球と他の照明との比較
最後に、「LED電球」を「従来光源を用いた電球」と比べた際のメリットについて、紹介していきます。先にも述べたとおり、「発光効率が良い」=「同じ明るさでも消費電力が少ない」となりますので、電気代に差が出てきます。LED電球の消費電力は白熱電球の約1/5程度で、電球型蛍光灯の約2/3程度とされています。すなわち、今のところ照明をすべて電球型蛍光灯でまかなっていて、LEDに置き換えたとした場合、照明の電気代が約2/3になるということになります。発光効率のよいLED電球を選択しない手はありません。
なお、自動車のヘッドランプなどに採用されるハロゲンやHIDと比べても、消費電力や寿命の長さなどの点から、LEDが有利です。
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